歩きスマホ

11時過ぎ、大学の構内にいる。
いつもより多くの学生が屯している。
この時間は講義中なので、いつもはもっと人の数がまばらだ。授業が早く済んだのか、早めに来てぶらついているのか、それともサボっているのか。

歩きスマホへの注意喚起の張り紙に気付くこともなく、スマホの画面を熱心に見ながら張り紙の前を素通りする男子学生。

何やら会話が弾んでいる様子で、「早くしろよ」「うっせーもうちょいだよ」「へたくそ」「はよはよ」と笑いながら戯れる5人グループ。彼らの手にもスマホがにぎられてる。

「え!?延期じゃないの?来週になるのかと思ってた。今日だったの?」と驚いて友人に問う女学生。「さっき始まったよ」とスマホの画面を見せる友人。「知らせてよー」と口を尖らせながら、スマホを操作する女学生。何かの予定が変わったのだろうか。

顔見知りの初老の教授とすれ違う。軽く会釈をした際、彼が抱えていたプリントの束を落す。すぐに拾って足早に去っていく。彼の手にはスマホはなかった。

ご飯を買いに行くため人を待っていた。
二人組の学生がこちらに向けてスマホを向けている。なんだか、自分がカメラで撮影されているようで少し居心地が悪い。場所を変えようかと、歩こうとした際二人組の片方が「よしっ!捕まえた」ともう一人の学生に、笑って見せていた。「おーっ」と小さな声を出して二人で喜ぶ姿はなんだか、小学生みたいだった。

そうか、ポケモンGOの日本配信が始まったのか。
彼らの楽しそうな顔を見て、小学校の頃、公園でゲームボーイを手にしていた自分を少し思い出した。

でも、歩きスマホは注意してね。